トロンボーン
■トロンボーン
吹奏楽でもオーケストラでも使用されている金管楽器の一つトロンボーン(Trombone)。その面白い形からどのような仕組みで音がでるのか興味のある方も多いのではないのでしょうか。
トロンボーンの歴史や楽器の仕組みなどについてお話しましょう。 トロンボーンの歴史は非常に古く、起源はトランペットと同じと言われています。15世紀頃にスライド・トランペットの一種から発達したものと考えられており、楽器の基本的な構造はその頃から変わっていないようです。
現在ではブラスバンドやオーケストラの他軍楽隊などでも使用されているトロンボーンですが、昔は教会で頻繁に使用されていた為、クラシック音楽至上では神聖な楽器として認識されていました。
そんな神聖な楽器を初めて交響曲に使用したのはベートーヴェンで、トロンボーンの交響曲初登場は、交響曲第5番の4楽章でした。
当時は、オーケストラは当時世俗的と考えられていた為、神を象徴する存在だったトロンボーンを交響曲に使用したのは非常に画期的なことだったようです。
その後19世紀にはバルブトロンボーンと呼ばれる種類のトロンボーンが盛んに使用されましたが第一次世界大戦前後頃からスライド式のトロンボーンが取って代わりました。
■ではトロンボーンの種類を見てみましょう。音域や機能によって主に8種類にわけることができますが、ピッコロトロンボーンとソプラノトロンボーンは音域の最も高い種類です。特にピッコロトロンボーンは非常に珍しい楽器になりますが、機能が悪いため現在ではあまり使用されていません。
その次に音域の高いのはアルトトロンボーンで最もよく使用され代表的なテナートトロンボーンと比べると、少し小さめで音は基本的に4度高くなっています。トロンボーンアンサンブルや合唱つきのオーケストラなどで主に使用されています。
代表的なトロンボーンであるテナートトロンボーンに、変化を加えたのがF官アタッチメント付テナートトロンボーンです。この楽器はテナートトロンボーンにバルブを一つ追加した楽器で、追加のバルブによりテナートトロンボーンよりも広い音域を出すことができます。
機能上の利点もいくつかあるものの、いくつかの問題もあり、最も大きな短所といえるのが、通常のテナートトロンボーンに比べて音色が断然落ちてしまうということです。
現在でもその短所を補う為に、楽器の改良が進められていますが、現在のところ吹奏楽やオーケストラではF官付きの楽器を使用する奏者が多く、ジャズはポップ音楽の世界では通常のテナートが多く使用されているようです。
■トロンボーンのオーケストラでの役割はどのようなものなのでしょうか。クラシック音楽史上で古典派音楽時代まではあまり出番の少なかったトロンボーンですが、大きな構成で厚みのある音量が求められるようになると、この楽器は非常に大きな役割を果たす事ができる為、序所に交響曲にも使用され始め、今日ではオーケストラで欠かせない重要な楽器の一つになりました。
音域の異なるそれぞれのトロンボーンの奏でるハーモニーや、他の低音楽器と共に作る厚みのあるハーモニーはとても美しく、又圧倒的な和声を作る時にも重要な役割を果たします。また逆に静かな旋律では独奏により美しく旋律を歌うこともできるのです。
トロンボーンの音色は、そのとても優しくマイルドな音色から人の声と上手く調和し、人の声に最も近い楽器とも言われています。スライド操作にて音を出す仕組みから早い旋律は苦手ですが、音程を連続して流れるように変化させる、グリッサンドは非常に得意と言えます。
他の楽器に比べると決して目立つ楽器ではなく、オーケストラにおいても影で支える引き立て役になりがちなトロンボーンな為、独奏曲などは非常に少なく、ソロ曲はあまり知られていません。クラシック音楽においては、トロンボーン四重奏や室内楽で主に使用され、他の音楽ジャンルではジャズなどでも使用されています。
■トロンボーンの関連サイト
1.トロンボーン(※ウィキペディア)